劇団プロフィール

南河内万歳一座(みなみかわちばんざいいちざ)

1980年10月、大阪芸術大学(舞台芸術学科)の有志により結成。
『蛇姫様(作・唐十郎)』で旗揚げ公演後、第2回公演以降は、座長・内藤裕敬のオリジナル作品を上演している。

内藤オリジナル三作目「彼方の彼方」公演の集合写真 ©劇団スナップ

大阪を活動拠点とし、年2回の2都市公演(東京・大阪)を基本に活動中。
また、海外公演として特にアジアに目を向け、韓国公演(87年・88年)中国公演(95年)も実施。
初めての韓国公演の際、資金集めのため「万歳バンド」を結成!扇町ミュージアムスクエアにてライブを決行!結果、赤字が増えるという惨事?!に見舞われながらの海外公演となった。
「万歳バンド」では座長・内藤裕敬はベース、創立メンバーで看板女優・鴨鈴女はダンサー、ただ者ではない役者・荒谷清水、当時は何者でもない荒谷はただ見ているだけで出番はなかった。

韓国公演:オブジェになるガラクタを探しに探索中の劇団員と地元の子供達。 ©杉浦正和

その他、複数劇団を集めての野外合同テント公演(86年・91年・93年)「南河内番外一座」「永盛丸」等のプロデュース公演、他劇団への客演、作・演出など、活動は多岐に及んでいる。
1998年からの3年間は更に「まだ見ぬ観客との出会い」を求めて地方都市公演(盛岡・仙台・高知・博多・富山等)も行い、劇団という集団での密度の高い作品づくりを重視する。
初めての盛岡公演では、地元劇団の稽古場を提供していただき宿泊。交流会で「わんこそば大会」を実施するなど各地方都市ごとに交流会を開き親交を深めた。たくさんの出会いとご協力と温かい応援をいただいたことは、今でも劇団の財産である。

かつて大阪市北区に存在した小劇場で扇町ミュージアムスクエア(略称・OMS)の2階を1985年から劇団稽古場として活動していたが、2003年に閉館。
扇町ミュージアムスクエアでの最終公演は「さらバイ」を上演。
役者達が「さらバイ!」と緞帳を持って走り出すエンディングでOMSの18年間に別れを告げた。

扇町ミュージアムスクエア最後の舞台「さらバイ」舞台稽古風景 ©劇団スナップ

その後、2003年から大阪城ホール西倉庫「ウルトラマーケット」を借り受け、2009年まで使用。

ウルトラマーケット ©劇団スナップ

04年、ウルトラマーケットにて15劇団、出演者総数63名の合同公演「日本三文オペラ 疾風馬鹿力篇」で関西小劇場界の底力をアピールした。

2004年「日本三文オペラ 疾風馬鹿力篇」©面高真琴

現在は、大阪市西区南堀江に拠点を移し演劇活動を続けている。
2010年、今までの演劇活動が認められ、再演「ラブレター」で「文化庁芸術祭優秀賞」を受賞。
劇団員アンケートで再演希望1位だった作品でもある。初演は1989年。

2010年「ラブレター」©谷古宇正彦

2019年、劇団の代表作の一つ「唇に聴いてみる」を現代版にした作品「21世紀様行〜唇に聴いている」で令和元年度「大阪文化祭賞」を受賞。
その時の受賞理由に「旗揚げ以来、一貫して大阪の地から拠点を移すことなく全国にその名を知らしめ、関西小劇場界を牽引してきた同劇団の底力と、若い才能や演劇ファンを育てて来た功績を改めてたたえたい。」と記してあった。

2019年「21世紀様行~唇に聴いている」©谷古宇正彦

作家(内藤)の世代論を軸とする繊細な戯曲を、時にはプロレス技も飛び出す集団演技のアンサンブルと、緩急のタイミングを心得たダイナミックな演出により、爽快でパワフルな舞台に仕上げていく。ストーリー性を重視。
台本に忠実な会話の成立に即興性を取り入れる実験。台詞を肉体から発想することにリアリティを求める。
旗揚げ初期から中期の作品は、『唇に聴いてみる』に代表される通称《六畳一間シリーズ》に見られるように、いわゆる「自分探し」的テーマが多かった。
その後、世代論が作家の内面から外に向けられ、「父親不在」「家庭の崩壊」「距離感の欠如」「不確実性」等を重要なテーマとした作品を経て、現在に至る。
「現代演劇は、作品の発表の先に何を見る?」が、南河内万歳一座のテーマ。
新しいスタイル、表現、作品の発表だけではなく、劇団いう演劇集団の活動とは何かを捜す!
40年以上活動している南河内万歳一座。よく老舗劇団ですねと言われるが、本人達は「旬」な劇団と思い今も昔も走り続けている!!