「漂流記」記者発表レポート

先日、演劇記者さんに南河内万歳一座の稽古場にお集まりいただき、「漂流記」の記者発表を行いました。
一年振りの新作に「今回は今まで以上に計画せず、遊んで物語を書ける!そんな自信があります!」と高らかに宣言した内藤!!
一体どういう事?!内藤が語った「漂流記」とは・・・。


「漂流」をモチーフに・発想の原点

内藤:実際の海の上での漂流は、漂流者のほとんどが、3日生存出来ないらしい。
それは海と言う環境に絶望して、助からないと言う諦めから、衰弱することが一番多いらしい。
その中で生還した人はいるわけで。救命胴衣を着ていたか、何かに捕まっていたか。
漂流してどこかに辿り着こう、船に救い上げられよう、何かにしがみつかなきゃ仕方がないと思う。
じゃ、私たちは人生の漂流で何にしがみついてここまで来たか。と考えるとそこは演劇になるなと。
僕の場合には演劇にしがみついたらこうなったってことで、演劇にしがみついて漂流してきたんだけど。
人によっては何かにしがみついていた事で、様々な出会いがあり、そこから別のものにしがみついて現在があるって方も居るだろうし。
何にしがみついているかで、漂流は変わるんだと思う。
間違ったものに、しがみついちゃいけないものにしがみついてしまうと、おそらく、こんなはずじゃなかった船に拾われたり、こんな所に来たいと思わなかった所に流れついたりして、その漂流を後悔するって言う事になるんじゃないかと。
てことは、良し悪しは判断できないけど、私たちは何にしがみついて漂流しようか?ということがとても何か生きていく上で、大きな要素になるのかな。
それを探す物語にならないかなと思ったのが、発想の原点。

主人公・あらすじは…?

内藤:主人公は三人。まずは浪人生、漂流真っ只中の猿田役を松本薫。
十七年間勤めた会社を突然解雇されて、人生の荒波に放り出された漂流者役・プーちゃんを福重友。
大学は出たのは良いものの、就活もせず、何も目標がないので長きにわたりフリーターでバイトをいくつも変遷しながら現在にいる役・サラをにさわまほが演じる。
この三人が何か自分がこれからどのみち漂流するならば、人生が漂流ならば、何にしがみつくべきかを探す物語。
その何かをガラクタ置き場で探す。何故ガラクタ置き場かと言うと、いわゆるガラクタ置き場を世間と言う暗喩ととらえている。
この数年でコロナも含めて戦争や事件、天災など世の中自体がガラクタ。
しかしガラクタの中から、人にはガラクタだが自分にとっては宝なんだという何かを見つけるのが、人生なのかなと。
ガラクタと言う世間の海を、ガラクタかき分けて泳ぎながら、自分にとっては宝物のガラクタにしがみついて漂流するのかなと言う気がして…。
私自身も相当ガラクタな人間なんで。主人公もガラクタ、場所もガラクタ置き場、そこで様々なガラクタに出会う。と言うお話。ざっと言うと。

ガラクタ置き場とはどんな所?

内藤:この稽古場をモチーフにしているんですよ。
劇団を42年やっていると整理するとこれ何年前の何の小道具?みたいな物が出て来る。
ほとんど使えないんですよ、衣装もほとんど使えないけど他劇団からこんな感じの衣装ありますか?とか言われて引っ張り出したり!
「使える物あったら何でも持って行って良いよ~」なんてね!
今回の作品は、ガラクタの倉庫みたいな所に探しに来る。
世間を暗喩する訳だから、ガラクタの迷路みたいになっている。
なんじゃこりゃみたいな人やガラクタが出て来ると思うよ。
そうそう、稽古場から10年前の梅酒とか出て来てね。
匂い嗅いだら大丈夫そうなので、劇団員の誰で試してみるか押し付けあっているよ。(笑)

初めましての、にさわまほさん(安住の地)

内藤:今回はオーディションせず、こちらから出演希望した役者陣!!
その中でにさわまほさんだけ、僕はこれまでお会いしたことがなかった。
松本薫君、丸山文弥君、吉岡莉来さんは以前にも出演してくれていてね、是非出演をとお呼びしました。
あともう一人、若くて有望な女優を今回出てもらいたいと思っていて。
色々な人に聞いた所、にさわさんと言う人がいると。にさわさんが所属している安住の地と言う劇団が、各地で旅公演をやっていると聞いて。野心的にあちこち出て行っていると。
僕たちも若い頃から名古屋・東京で公演をしたり、九州公演も入ったり3都市、4都市公演することもあり、韓国公演にも行ったりしていたのでね。
「えっ!そんな劇団、若手でいるんだ~!」って興味を持っちゃって、お呼びしました。
にさわさんは面白い人で、これからグイグイ良くなるんだなぁと可能性を感じる女優さんです。


「ちゃんとやらない事で一本書けないか…矛盾が面白い、辻褄が合わない事が面白い、よくわからない世界観が面白い!!みたいな所に辿り着けば良いなと思いながら創作してます。」と語る内藤。
演劇の漂流者・内藤は一体何にしがみつき、作品はどこに辿り着いたのか…。
是非劇場でお確かめください!!心よりお待ちしております。

漂流記